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商標:ロシア

ロシア連邦憲法裁判所の2018年2月13日付判決が真正商品の並行輸入に与える影響について

2018-03-01

2018年2月13日、ロシア連邦憲法裁判所がロシア民法典に関する合憲性を判断いたしましたが、その判断の中には、並行輸入に関する見解が含まれております。

憲法裁判所の判決は、ロシアにおける並行輸入に対して商標権侵害を主張することが困難になる可能性を含むものといえます。

これまで、ロシアにおいては、真正商品であっても、商標権者の許諾のないロシア国内への商品の流入は、民事訴訟を提起し、裁判所が、当該輸入行為は商標権侵害を構成するという判断を下せば当該無許可の商品がロシアにおいて流通することを防ぐことが可能でした。

しかし、今回の判決において、憲法裁判所は、商標権者が、他国と比較して、ロシアにおける商品の輸入制限や高値付け政策に商標権を使用することは許されないとの判決を下していることに注意が必要です。

今後、民事訴訟において、並行輸入行為は商標権侵害であるという判決を獲得するためには、商標権者は、自己が提起した訴訟がロシアの価格政策を含む商標権の乱用ではないことを証明しなければなりません。また、並行輸入を禁止しても、人々の健康と生命を危うくしたり、公益上のリスクを負わせたりすることはないと主張し立証する必要があります。

憲法裁判所は、グレー商品(真正商品の並行輸入品)と模倣品との法的影響が同様に扱われるべきではないと判示しています。特に、並行輸入の補償額は、偽造品の輸入の場合より少なくなり、裁判所は、裁量により、損害賠償額を自由に減額できます。

並行輸入の結果として、ロシアに輸入された商品を破壊することは、商品の品質が低いか、安全上の理由か、人の健康と生命を守り、環境や文化的価値を保護する目的でのみ許可されるものとされました。

また、今回の判決において、裁判所は、ロシアはユーラシア経済連合(ロシア、カザフスタン、ベラルーシ、キルギス、アルメニア)の一員として、経済連合域内消尽が採択されていることを確認いたしました。

ロシアにおいて、いわゆる真正商品の並行輸入を禁止し、輸入者に対して損害賠償請求をすることは、依然として可能ではありますが、今後、裁判所は、このような請求を受け入れず、却下するかもしれません。

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