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商標:ロシア

ロシア沿海地方仲裁裁判所が真正商品の並行輸入を商標権侵害と認定

2018-07-20

2018年3月1日付の弊所HP内でもNEWSとしてお知らせいたしましたが、2018年2月13日にロシア連邦憲法裁判所がロシア民法典に関する合憲性を判断いたしました。当該判決においては、並行輸入に関する見解が含まれておりました(詳細は下記リンク先をご参照ください)。

弊所においては、当該判決が出る直前に、いわゆる並行輸入品がロシアに流入されることを阻止するために民事訴訟を提起していたところ、この度、勝訴判決がおりました。

当該民事裁判中に、前述の憲法判断が出たことにより、商標権侵害を認定されないのではないかと危惧しておりましたが、2018年5月7日付判決において、仲裁裁判所は、“権利者の許可なくして行われた被告によるロシア連邦内への商品搬入によって原告の商標権が侵害される”という当方の主張を正当と認め、問題となっている商品のロシアへの流入を禁じる判決を下しました。

今回の2018年5月7日付判決により、2018年2月13日の連邦憲法裁判所の判決以後であっても、真正商品のロシアへの流入を阻止することは可能であることが判明いたしました。なお、現地代理人によると、恐らく今回の判決は、2月13日の判決以後初めての並行輸入品関連の民事訴訟とのことです。

世界的な潮流としては、並行輸入品を阻止することは非常に難しくなっております。当該商品がいわゆる「真正商品」の場合は、最大限の自由なモノの移動を確保すべきとの考え方が支配的なためです。

しかしながら、広大な国土を有する国に於いては、各地方における裁判所の判断が統一されていない可能性もあり、さらに、属地主義、地方主義の考え方が、ケースによっては商標権者に有利に働くこともあるといえます。

民事訴訟は個別具体的な案件毎に判断されることより、今後も同じようにロシアにおいて並行輸入品を阻止できるかどうかを結論づけることはできませんが、並行輸入品を阻止したい場合には民事訴訟を提起することは依然として一つの解決方法といえるものと思料いたします。

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