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著作権:日本

著作権法改正の施行日が決定

2018-10-31

平成30年3月8日署名された「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(TPP11協定)を受けて平成30年6月29日に成立し,同年7月6日に公布された「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律」(TPP11整備法)により,環太平洋パートナーシップ協定(TPP12協定)で予定されていた著作権法の改正については,TPP11協定が日本国について効力を生ずる日から施行されることとなっていました。

TPP11協定では,同協定の署名国のうち少なくとも6ヶ国が国内法上の手続きを完了したことを寄託国に通報してから60日後に効力を生ずる旨が規定されているところ,このたび,6ヶ国目となるオーストラリアが2018年10月31日に,必要な手続きが完了した旨を寄託国であるニュージーランドに通報致しました。

これに伴い,TPP11協定が2018年12月30日に発効することとなり,したがって改正著作権法も,同日付で施行される運びとなりました。著作権法の改正事項は,以下の5点です。
(1)著作物等の保護期間の延長
(2)著作権等侵害罪の一部非親告罪化
(3)アクセスコントロールの回避等に関する措置
(4)配信音源の二次使用に対する報酬請求権の付与
(5)損害賠償に関する規定の見直し

このうち,特に(1)著作物等の保護期間の延長については,実務に与える影響が大きいと思料されます。
すなわち,これまでは,著作者の死後(又は公表後,実演が行われた後若しくはレコードの発行後)50年とされていました。しかし,今回の法改正により,これが70年に延長されることとなります。これまでも,映画の著作物については,公表後70年が保護期間とされており,今回の法改正による変更はありません。よって,今回の法改正により,保護期間が70年に統一されることになります。

前述の通り,TPP11整備法の施行日は2018年12月30日ですが,その前日(2018年12月29日)において著作権又は著作隣接権が存する著作物,実演及びレコードについて適用し,同日において旧著作権法による著作権又は著作隣接権が消滅している著作物,実演及びレコードについては,なお従前の例による(TPP11整備法附則第7条第1項)とされていますので,2018年12月29日時点で著作権又は著作隣接権が消滅している場合に,保護が復活することはありませんが,同月30日に著作権又は著作隣接権が存在するものについては,20年保護期間が延長されることになりますので,ご留意ください。

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