飯島国際商標特許事務所
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米国商標法概説(1)『使用主義と登録』

2021-12-10

1 米国は使用主義
米国は使用主義の国です。そのため登録をしなくても使用をすればその地域内で商標は発生します。
これをコモンロー上の商標といいます。
ただこの独占権は現実に使用している地域内にしか及びません。
そのため、米国でブランドビジネスを展開にするためには、必ず登録を受けておくことが必要になります。
では米国で商標登録をする意義はどこにあるのでしょうか。

2 米国登録制度
米国では州による登録と連邦登録とに分かれます、州登録は州内での独占排他権です。
米国全土に対して独占権は及びません。米国全土に独占権が生じるためには連邦登録を受けておくことが必要です。
また連邦登録により、以下の効果も生じます。

3 連邦登録の効果
連邦登録を行うことで、主に以下の効果が生じます。
⑴ 排他的権利の推定
登録者がその商標を使用する排他的権利を取得したと推定されます。
⑵ 使用擬制
商標を商標を一定の地域でしか使用していなくても、出願日からアメリカ全域において商標を使用していたものと擬制されます。
⑶ 擬制告知
登録により、商標権をアメリカ全域に告知したものと擬制されます。その後に第三者が同じ(又は類似の)商標を使用した場合、その第三者は登録商標の存在を知らなかったという言い訳(善意の抗弁)ができなくなります。
⑷ 模倣品(侵害品)の差止め
連邦登録商標を税関に申請しておくと、模倣品の輸入を水際で差し止めることができます。
⑸ Rマーク
連邦登録商標であることを証明するRマークを商標に付けることができます。
⑹ 不可争性の取得
商標登録後、継続的に5年間商標を使用して、アメリカ商標法第15条の宣誓書を提出すれば、不可争性を取得します。すなわち、第三者は登録の有効性について争えなくなります。
このように連邦登録することで、商標権の効力が増すことになりますので、米国に商品展開をする場合には連邦登録されることがブランド戦略上は必要です。

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