飯島国際商標特許事務所
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【最新の議論】データの保護の知的財産権

2018-02-05

近年、「IoT」「ビッグデータ」「AI」等の活用が益々重要視されています。その中で集積・活用される「データ」それ自体の重要性や経済的価値も高まっています。同時に価値あるデータの保護の在り方についても議論・検討がすすめられています。
価値あるデータについては、「民法」「特許法」「著作権法」「不正競争防止法」により保護を図ることが考えられます。
しかし、「民法」では、差止請求権がなく、損害賠償請求が認められるためのハードルは非常に高いといえます。「民法」により損害賠償請求を認めた裁判例が複数存在しますが、通常のケースでは、損賠賠償請求が認められるケースは少ないといえます。
また、例えば単なる情報集合体は、それ自体、たとえ価値のあるものでも、「特許法」や「著作権法」では保護されません。
残るは「不正競争防止法」です。
単なる情報集合体も、営業秘密に該当すれば、保護されます。
そのような意味で、データの保護という場合、「不正競争防止法」による保護が適切かもしれません。
しかし、営業秘密として保護されるためには、秘密管理性・有用性・非公知性を充足する必要があり、営業秘密の要件に該当しないものが多く存在します。データを共同して利用する際には十分は秘密保持契約をしていないなど、適正な秘密管理がなされていないことも多く、その場合には、費用・労力を投下して集められた価値あるデータであったとしても、不正競争防止法を根拠に差止請求や損害賠償請求はできません。
そこで、不正競争防止法を改正し、「営業秘密」とは別に、現在、「データの不正取得・使用・提供の行為のうち悪質な行為」を不正競争行為として新たに位置づけた上で、そのような行為に対する救済制度を創設するための検討がなされています。
基本的には、データの利活用を阻害しないように、データの提供者と利用者の保護バランスを考慮しつつ、保護客体となるデータの要件(技術管理性・限定的な外部提供性・有用性)を定めるとともに、悪質性の高い行為に限定して、最低限のルールを設けようとしています。このような改正がなされることにより、非公知性を前提とした営業秘密ではなく、非公知ではない価値あるデータも不正競争防止法の下で保護される可能性が出てきます。
現在検討されている最新の議論については、「平成30年1月 産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会 データ利活用促進に向けた検討 中間報告」が参考になります。

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