飯島国際商標特許事務所
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商標:ミャンマー

商標法案の議会審議の進捗及び見通し

2018-06-01

これまで,ミャンマーにおいては,商標法などの知的財産法は存在しませんでした。この状況下において,自己の商標をミャンマーで保護するためには,証書登記事務所に商標保有宣言書を提出の上,登記を行い,地元新聞又は週刊誌に警告文を数年ごとに掲載する実務となっていました。ただ,実際に権利行使を行うためには,商標権を主張する者がミャンマーにおいて商標の使用を開始していなければなりませんでしたので,「先使用主義」を採る実務と言えます。

しかしながら,今般議論されているミャンマー商標法では,大きな転換がなされることが見込まれます。例えば,先願主義を採択すること,優先権の主張が可能となること,周知商標の認定制度が設けられること,権利侵害に対しては民事及び刑事上の救済が与えられること,侵害品の輸入に対する税関差止が可能となることなど,多岐に亘ります。

これらのうち,特に注意を要するのが,前述のとおり新法下においては先使用主義から先願主義に大きく方向転換がなされる一方で,新制度への移行措置が設けられない見込みである点です。また,周知商標の保護が認められるようになるとはいえ,どのように認定をしていくかは,法施行後にミャンマー教育省が交付する命令又は規則で定められる予定です。したがって,全ての商標権者にとって,早期に出願手続を執ることは重要なことであると言えます。

商標法をはじめとする,ミャンマーにおける知的財産関連法案の制定は,長年に亘り検討が重ねられてきましたが,2017年7月~8月にミャンマー連邦議会の上院である民族代表院に提出された商標法案,意匠法案,特許法案及び著作権法案が,2018年2月15日に同院を通過しました。これらの法案は,現在,下院である人民代表院において審議が行われており,早ければ,近く人民代表院を通過して大統領府に提出され,2018年6月にも法案が成立するとも言われていますが,詳細は未定です。

なお,新法施行に伴い,証書登記事務所に代わって,商標登録関係事務を所管する官庁として,知的財産局が新たに設けられることが予定されています。

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