飯島国際商標特許事務所
  • HOME
  • NOTE
  • 【商標一般】不使用取消審判に対する防衛策

NOTE

【商標一般】不使用取消審判に対する防衛策

2018-07-26

登録商標は,指定商品・指定役務との関係で,適切に使用されなければなりませんが,これが継続して3年(又は5年)以上不使用状態である場合には,第三者の請求により取り消されるという制度を設ける国は,多く存在します。

これは,一般には不使用商標に対して排他的独占権を付与したままにすると他者の利益を害し,またこのような登録の存在は,商標の選択の余地を狭めてしまうという観点から説明されます。

不使用状態の登録の取消を求める場合には,特許庁に不使用取消審判(又は裁判所に取消訴訟)を提起することになりますが,≪誰でも≫取消を求めることができるという制度の国は,少なくありません。

日本は利害関係がなくとも取消を求めることができる制度を採用していますが,過去5年間の取消審判の請求件数は1000件前後で推移しており,このうち8割近くについて取消となっています。

同様に韓国も不使用取消審判を提起するには利害関係は不要ですが,韓国における2013~2016年の取消審判の請求件数は1000~1200件前後で推移していましたが,2017年では2100件を超える請求がなされ,このうち9割以上の案件で取消となりました(韓国は過去5年でみても8割以上の確率で取消決定となっています。)。

また,中国においては近年3万件もの不使用取消審判が請求されているという研究発表もなされています(中国も利害関係は不要です。)。

こうしてみると,費用と時間を投じて取得した商標登録を不使用状態のまま放置すると,突然不使用取消審判を提起されて,取り消されてしまうことも少なくないことが判ります。

全ての登録商標を使用している場合には,商品の写真,カタログ,請求書・納品書,輸出入関係書類,広告宣伝物などの使用証拠を,撮影日・発行日などの日付が明らかになるように証拠として整理しておくことが重要です。

もし未使用・不使用である場合には,登録から3年が経過する前に,再度同じ範囲に出願し直すことも一策です。

一覧ページへ