台湾コンセント制度の概要
2024-07-17
台湾 コンセント制度
日本ではコンセント制度が、令和6年4月より開始されました。ここで、台湾ではコンセント制度がどのようになっているのか概観していこうと思います。
1:台湾コンセント制度の有無(商標法30条10項)
台湾の商標法にもコンセント制度があります。
根拠は商標法30条によります。商標権者が出願に同意をすれば並存登録を認めることになります。但し、同意を与えた場合でも、「明らかに不当である場合」には併存登録が認められません。
2:同意書を提出しても併存登録が認められない場合(商標法施行規則30条)
同意を得た場合でも、「明らかに不当である場合」には併存登録が認められないことになりますが、商標法施行規則30条では以下の場合がその事由に該当するとされます。
【同意所の提出があっても併存登録できない場合】
⑴商標出願が、先に登録された又は先に出願された商標と同一であり、且つ、同一商品又は役務に使用を指定した場合。
⑵商標出願が裁判所によって禁止処分された場合。
⑶その他、商標主務官庁が明らかに不当な状況と認める場合。
日本では同一商標、同一の指定商品等の場合は出所混同の虞が高いとされ、登録ができない可能性が高いとされています。詳細については、商標審査基準に記載がありますので、以下参照してみることにしましょう。
3:商標同一・商品等同一の場合とは(同意書を提出しても併存登録できない場合1)
⑴ 商標同一の場合
商標が全く同一の他、商標の一部において、記号の有無又は 大文字・小文字の形式の微妙な差異があるだけ等の状況の場合も、消費者は見落とす可能性が高く、同一の商標とみなさされます。
例えば、「 旺旺」 と 「旺 旺」 、「 BABY CARE 」と「 baby care 」で、商品又は役務の一部において文字は異なりますが、同一商標として判断されます。
⑵ 商品同一の場合
商品について記載は違いますが、実際、同一の概念に属する商品又は役務も同一の商品又は役務とみなされる。例えば、「錠剤」と「丸剤」、「リップ」と「口紅」又は「軽食店」と「屋台」等。
⑶ 指定商品等が包含関係にある場合
商品等が上位概念の場合は、前述した実質的同一の状況ではないが、包含関係にある場合
例えば「化粧品」と「口紅」の場合には、指定商品を「口紅」以外に減縮すれば同意書の提出をもって併存登録される。
4:商標登録出願が裁判所のよって禁止処分された場合(同意書を提出しても併存登録でいない場合2)
5:商標主務官庁が明らかに不当な状況と認める場合(同意書を提出しても併存登録できない場合3)
団体商標の使用規範書により指定商品の一定の品質または特性が要求されているにもかかわらず、団体商標の権利者が併存登録の商標商品に同じ条件を要求しなかった場合、関連消費者に、併存登録の商標商品も団体商標商品と同じ品質または特性を有すると誤解させるおそれがありと併存登録がなされません。
6:同意書の提出時期
⑴ 法的な根拠
同意書を何時提出しなければいけないか、商標法、施行規則、審査基準などには規定がありません。従って、拒絶査定になり、その査定に対して審判を請求した後に併せて交渉を行い、同意書の提出も可能です。
⑵ 問題点
但し、同意書を採択するか否か審判官の判断による場合もあり、同意の提出は早い時期の行うほうが妥当な場合がある。
7:併存登録後の措置
⑴ 我が国の場合
類似関係の商標権が併存登録された場合には、その使用の仕方により事後的の出所混同が生じる虞れがある。わが国内法は、混同防止表示請求(日本商標法24条の4)による、
区別表示を求める請求と、併存登録後の使用により混同が生じた場合の制裁として取消審判(日本商標法52条の2)の審判がコンセントによる併存登録の場合に適用ができるように改正がなされた。
⑵ 台湾の場合
台湾でも混同防止表示請求(43条)の規定があるが、当該規定はあくまでも類似関係の商標権が譲渡されたことを要因とする旨の規定であり、コンセントの場合にも適用できる旨が明確に規定されていません。
他法、取消審判は63条に規定がありますが、審判請求後に審決前に43条の適当な表示を付したことで、出所混同のそれがなくなった場合には商標権は取消されない旨の規定があります。