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韓国の不正競争防止法の改正概要(2024年8月21日施行)

2024-09-24

1 初めに
不正競争⾏為、営業秘密侵害⾏為に対する保護範囲の拡大と救済手段の強化が図られました。8月21日から技術奪取防止の強化対策を盛り込んだ改正「不正競争防止法」および「特許法」が施行されました。

2 刑事処罰強化(法人に対する罰金刑の強化)
不正競争行為犯罪、営業秘密侵害行為に対する刑事処罰が強化され、両罰規定(19条)において、法人に対しては、個人に課される罰金刑の3倍までを言い渡しが可能になりました。法人による組織的な犯罪行為を抑制することが期待されます。また、営業秘密の侵害品だけではなく、その製造設備までを全て没収する規定を新しく設けられました(18条の5)。
また公訴時効期間の徒過により法人は処罰を受けず、行為者のみ処罰される不合理を改善するため、営業秘密侵害罪に対する法人の公訴時効を行為者と同じ水準に延長することとされ、19条の2の規定により、法人も公訴時効期間を10年とするとの規定が導入されました。

3 懲罰的損害賠償の強化
特許権及び専用実施権、アイデア窃取及び営業秘密に関する故意的侵害行為に対して実損害の5倍まで(従来3倍)懲罰的損害賠償を賦課できるようになります。安易な模倣を防止するためであり、模倣のほうが得だとの悪循環を改善する為の措置であり、諸外国と比較しても高額な懲罰的損害賠償となります(同様の5倍賠償としている国は中国がありますが、欧州や米国でもこのような高額な懲罰的損害賠償は求められていません)(14条の2第6項参照)。

4 強力な行政措置の導入
不正競争行為に対しては特許庁長による是正命令制度等が導入され、是正命令の不履行時に最大2,000万ウォンの過怠金賦課が可能になります。
従来は勧告にとどまり強制力がなかったが、強制力を課すことにより、行政救済の実効性を確保することで、相次ぐ技術奪取の状況を迅速に解決することが可能になります。(8条、20条参照)。

5 民事訴訟での証拠活用の可能性の増加
行政調査関連資料に対して当事者による閲覧又は複写が可能となるとともに、法院の記録送付要求に対しても特許庁長等は正当な理由がなければ拒否できないという内容が追加されました(14条の7参照)。

6 営業秘密の毀損・滅失・変更禁⽌義務の新設営業秘密の毀損・滅失・変更禁⽌義務が新設されました (9条の8)。また、不正な利益を得る目的、営業秘密の保有者に損害を与える目的で、他⼈の営業秘密を毀損、滅失、変更した者への罰則規定(10年以下の懲役⼜は5億ウォン以下の罰⾦)が定められました(18条3項3号参照)。

 

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