インドネシアにおける不使用期間が3年から5年へ
2024-09-29
インドネシアでは、不使用取消審判の不使用期間が3年とされていました(74条)。
この規定はインドネシアが加盟しているパリ条約(同条約では、不使用期間は各同盟国で定めることとされ(5条C⑴)ています)、及びTRIPS協定(同条約ではパリ条約と異なり不使用期間には条約上義務付け規定とされていますが、少なくとも3年と規定されています)の規定を順守しています。
同条約の加盟をしている多くの国のうち、コモンローの国(英国、シンガポール)は不使用期間を5年としているのに対し、わが国のように実定法の国の多くは3年としています。
そのため、3年か5年にするかは各国の国内事情によるものとされますが、今般のインドネシアでの憲法訴訟では、中小企業が登録から3年の間に使用を開始をすることは負担が大きく困難である点、また不使用が正当理由による場合にはわが国同様、その請求は認められませんが、その事由が74条2項に具体的に規定された事項に限られています。
現在のインドネシア商標法74条2項にはa. 輸入禁止、b. 当該商標を使用した商品取引許可に関する禁止、又は権威ある者による一時的な決定、c. 政令によって定められたその他の禁止令という事項が規定されていますが、商標権者が主張したCovid-19などの不可抗力の状況は規定がありませんでした。
憲法裁判所は、この商標権者の主張を全面的に見直し、不使用期間を3年から5年に変更する旨、及び不使用の正当事由として政令に盛り込むことを認めました。
これにより、インドネシアの不使用取消のための不使用期間は3年から5年に変更され、不使用の正当理由として不可抗力の場合が追加されることになりました。
これにより、特に中小企業が登録後速やかに使用を開始する必要性がなくなり、中小企業に対する厚い保護となる一方、取消を求める者は5年間(今よりも2年間加算した不使用の称呼に収集必要があります)の不使用の証拠を集める負担が増大することになります。