韓国:周知商標権の存続期間経過後の使用許諾には商標法の類推適用はないとした大法院の判決
2024-10-25
韓国では商標権が共有の場合、使用許諾に際しては日本同様、共有者全員の承諾が必要とされている(商標法第93条第3項)。
他方、民法の共有の章では使用許諾等の管理行為は持分の半数の者の承諾があれば足りるとされている。
本件は8名の共有に係る商標権が、更新をしないことで権利が消滅した後に、原商標権者全員の承諾を得ていないが、持分の過半数を有していた者の使用許諾を受けた者が、当該原商標権は著名な商品等表示であることから、被告の使用に対し不正競争防止法に従い差止を求めたという事案である。
【争点】
韓国の不正競争防止法でも、我が国の不正競争防止法同様、使用権者にも差止請求が認められている。
争点は、商標権が消滅した場合でも商標の規定が類推され、原商標権者全員の承諾が必要か。
あるいは、商標ではなく民法の規定が適用され共有持分の過半数の許諾があれば有効な使用許諾となるのかの点である。
【原審】
原審では商標の規定を類推し、原商標権者の全員の承諾がなければ有効な使用許諾とはならないと判示し、不正競争防止法に基づく差止請求を行った者は、使用権者にはならず差止請求をすることができないとした。
【大法院】
大法院ではこれを否定し、共同保有者の間に特別な約定がない限り、民法第265条本文を類推適用して共同保有者の持分の過半数でこれを決定することができ、一時商標権が発生していた周知標識であるとしても、その商標権が消滅した以上、その標識の使用許諾に商標法第93条第3項で規定する共有者全員の同意が必要であると認めることはできないと判示した。
韓国で周知未登録商標についての管理行為には、今後大きな影響を与える判決となると思われる。
(韓国大法院判決)2023ダ216302不正競争行為:差止請求の原告適格:判決言い渡し日:2024年7月11日