韓国商標法異議申立制度の概要
2025-01-09
韓国の異議申立期間が、2か月から30日に法改正により短縮化される予定(施行は本年度の7月から予定されています)であることとは、ニュースに掲載いたしました。これは現在、韓国での第1次審査の開始に約13.2ヶ月(24年11月現在)かかることを考えると、出願人の権利を早期に確保するためには、異議申立期間を短縮する必要があったことが要因であるとされています。この点は、日本のように権利付与後に異議申立てをするのではなく、韓国では登録査定前に付与前異議(平成8年改正前に我が国の商標法と同様)の制度を採用していることが要因とされます。そこで、ここでは韓国の異議申立て制度の概要を説明していくことにします。
1 異議申立てできる者・期間
何人も出願公告日(審査間の審査が終了し、拒絶理由を見つけることができない場合になされます。韓国商標法60条)から2月以内申立てをすることができます。
この点、2月経過するまでは公告された商標は登録査定にならないと共に、異議申立てによる転覆率が非常に低いということが、問題となっていました。そのため、 申立期間が2月から30日に改正される予定です。
また、この期間は延長することができませんが、申立て期間経過後30日間は商標登録の異議申立人その異議申立書に記した理由と証拠を補正することができます(韓国商標法61条)。更に、上記補正期間は、異議申立人の請求または職権により30日以内に1回延長することができます。(韓国商標法第17条第1項1号)。この点は改正されないようです。
2 審理主体
付与前異議申立てですが、3名の審査官合議体で審査がなされます(韓国商標法62条1項)。また職権探知主義が採択され、申立てにな理由についても審査されます。
3 審理の併合又は分離
2以上の異議申立が競合する場合は併合審理することができます。併合するか否かは裁量でなされ、この点、原則審理併合される我が国とは異なるところです。また、参加の制度はなく、この点も我が国の異議申立てとは異なります。
4 異議申立決定
異議申立が理由ありと判断されれば、異議決定書で「理由がある」と決定され、当該出願には拒絶決定書が発付されます。(商標審査基準第6部第4章2.3.6)。出願人がこの決定に不服の場合、3か月以内に拒絶決定不服審判(商標法第116条)を請求することがでます(商標法第66条第6項)。
異議申立が理由なしと決定されれば、当該出願は登録決定されます。異義申立人がこの決定に不服申立することはできません(商標審査基準第6部第4章2.3.6)。この場合は、商標登録無効審判(商標法第117条)を請求することができるとされる点は、我が国商標法と似ています。(商標法第66条第6項)。