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台湾意匠法改正草稿(第2稿)の公表

2025-03-29

意匠法改正草案(第2稿の公表)

台湾では1949年の現行の専利法が施行されてから15回にわたる改正が行われ、直近は2022年に一部改正がなされました。今般デジタル産業の発展等ニーズ及び世界の意匠の動向を踏まえ「専利法一部条文改正草案」第2稿が発表されました。
この草案の内容について意見や修正の提案がある場合は、2025年4月7日までに意見提出ができます。
なお、台湾智慧局は2025年4月17日(木)に本草案の公聴会を開催する予定です。
主な改正内容は以下の通りとなります。

1:コンピュータ画像及びグラフィカルユーザーインターフェースは「物品」として単独で意匠の保護を受けることができるようになります。
【現行の規定:専利法121条】
意匠とは、物品の全部又は一部の形状、模様、色彩又はこれらの結合であって、視覚に訴える創作を指す。
【改正予定規定】
画像の物品制限を削除し、コンピュータプログラム又はその他のデジタルテクノロジーにより生成される画像であることを規定される

2:意匠の実施行為には、「物の発明」の実施に係る専利法第58条を準用することになります。
【現行専利法58条】
物の発明の実施とは、当該物を製造、販売の申し出、販売、使用をする行為、又はこれらを目的として輸入する行為を言う。

3:「類似意匠の併合出願」制度を導入した。
同一出願人が2以上の類似する意匠を有する場合、複数の意匠を一出願に纏め、そのうち1つを本意匠として、意匠出願することができるようになります。
台湾は原則一意匠一出願制度(129条)であり、同一出願人が2以上の類似する意匠を有する場合、関連意匠制度を利用し(127条)両者について並存登録を受けることができます。今改正では関連意匠制度を残し、更に類似関係の意匠については1出願にまとめて(複数一括出願)出願することができる類似意匠制度を新設します。改正がなされると、従来の関連意匠制度と、類似意匠制度の2つの選択肢が与えられることになります。
なお、新設予定の類似意匠制度では登録意匠に瑕疵がある場合には、意匠ごとに無効審判が請求することができることになります。
【現行専利法127条:関連意匠】
同一人が 2 以上の類似する意匠を有する場合は、意匠及びその関連意匠を出願することができる。

4:意匠のグレースピリオドを現行の6月から1年に緩和する。
現在の新規性喪失の期間は公知から6月以内に出願することが要件となっています。この点、1年にグレースピリオドが改正されます。
日本では既に、平成30年の6月9日以降の出願に対しては公知から1年に出願がなされた出願については新規性喪失の例外適用がなされるように改正がなされております。
5:意匠の登録査定後に分割出願できるよう緩和
現在、意匠の分割出願の時期について、原出願の再審査査定前であるが、原出願又は再審査の登録査定書送達後3か月以内に分割出願をすることができるようになります。この点、日本も特許法ではこの点の規定がありますが(日本:特44条1項2号)、意匠にはそのような規定はありません(日本:意匠法10条の2第1項参照)。【現行専利法130条】
意匠登録を出願した意匠が、実質的に 2 以上の意匠である場合、特許主務官庁の通知又は出願人の請求により、出願を分割することができる。分割出願は、原出願の再審査の査定前にこれを行うものとする。

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