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韓国でデザイン保護法の一部が改正(2025年5月27日公布)

2025-05-29

デザイン保護法案の改正

韓国でデザイン保護法の一部が改正され、2025年5月27日に公布されました。
改正された内容は以下の通りです。

1:一部審査制度の見直し
一部審査制度は韓国特有の制度であり、流行性が激しい物品分野では一部の登録要件をのみを審査して権利を付与する制度です。
対象となる物品は流行性の高い物品(ロカルノ分類1類(食品)、2類(衣類)、3類(身の回り品)、5類(繊維製品)、9類(包装容器)、11類(ジュエリー)、19類(文具類)等が対象になり、拒絶理由が通知されない限り、早ければ2週間、遅くても1ヶ月前後で速かに権利を付与されることができる制度です。
但し、この制度を利用して登録されたデザイン権は全ての要件を判断しないため、近時この制度を悪用し、既に公知・公用になったデザイン権をあたかも新しいものであるかのように登録してオンライン上で物品を独占して販売する事例が相次いでいました。
このような瑕疵ある登録に対しては、異議申立制度を通して救済を受けることができますが、その期間公告後3ヶ月であり、その期間を経過すると無効審判を請求しなければならないという負担が存在していました。
そのため本制度を以下のように改正しました。

【改正内容】
⑴新規性および先出願要件に明らかに違反する一部審査登録出願に対して審査官が拒絶できる法的根拠を設定しました。
⑵異議申立て期間はデザイン権が設定登録され公告日後3ヶ月しか異議申立てができないことから、更に異議申し立て期間として「デザイン権侵害に関する通知を受けた日から3ヶ月以内」も追加されることになります(デザイン保護法68条1項)。

2:デザイン権の冒認や共同出願違反の場合の移転請求を認めるよう改正がなされました
冒認や共同出願違反の場合、正当な権利者(我が国での意匠登録を受ける権利を有する者)は裁判所に対し移転請求行うことができる旨の規定が導入されました(デザイン保護法96条の2新設)。これに関連して以下のような規定も改正されます。日本の意匠法26条の2、29条の3と似たような改正となります。

【改正内容】
⑴移転登録がなされた場合、真の権利者に対して新しい登録証の発行を申請しなければならない(89条3項新設)
⑵移転請求がなされた場合、善意の原デザイン権者、原実施権者等には法定通常実施権が生じます(100条の2新設)。なおこの通常実施権は有償であり、真の権利者に対し原実施権者等は相当の額を支払う必要があります。
⑶共同出願違反の場合、権利を有している共有者の同意を得ることなく、自己の持分の移転を求めることができます。
⑷なお冒認や共同出願違反を根拠に無効審判請求することができる者を「利害関係人」から「デザイン登録を受けることができる権利を有する者のみ」とする(121条1項)。理芸関係人が無効審判請求をし、真の権利者が移転を認める機会を喪失することを防ぐた

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