飯島国際商標特許事務所
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中国での不使用取消審判制度の改定

2025-06-15

中国の不使用取消審判制度の変更

 中国では商標出願件数が増大しています。その中には、使用を目的としない悪意による商標登録出願が多く登録され、それに対する措置として不使用取消審判の利用が非常に有益な措置として機能しています。そのため、近年不使用取消審判の件数が増大し不使用取消審判の請求件数が増加しています。

 不使用取消新案の件数が増大した理由は、⑴拒絶査定不服審を請求した際に、不使用取消審判を請求すると、不使用取消審判の審決まで、拒絶査定不服審判の審理を中止するよう請求する制度が2023年以降に復活したこと、⑵悪意商標の商標の増加、⑶先願先登録を引例として拒絶理由を通知しされた対応として、同意書(コンセント)をもらってもその運用が厳格でなかなか登録にならず、先行商標を消滅させる手段として不使用取消審判が有効な制度であることが考えられます。

 ただ、不使用取消審判は利害関係がない者も請求できるとともに、悪意商標の増加に対する対応策として有効であり件数が増加しました。中国での不使用取消審判では、証明責任は日本同様、商標権者にあるとされてきました。しかし、近時の請求の増加(利害関係が不要であることから、濫用的な請求も多くあり)から、明らかな濫用的な請求の場合には審判請求人に対し補正を命じ使用証拠(商標登録者の情報、プラットフォームでの商標の使用状況の調査結果を追加)するように運用がなされています。

今回2025年5月26日に、商標局は不使用取消請求のルールを更に明確にしました。請求人側が不使用取消審判を請求するに際し、⑴対象商標に関する調査証拠を提出すること、⑵対象商標に関する調査方式を規定、⑶不使用取消請求書に承諾書(証明に記載した事実は虚偽等ではないことの宣言書)を添付することを求めています。

* 参考
【中国:商標法49条2項】
登録商標が使用許可された商品の通用名となり、又は正当な理由なく継続して3年間使用しなかったとき、如何なる単位又は個人も、商標局に当該登録商標の取消を請求することができる。商標局は、請求を受領した日から9ヶ月以内に決定を行わなければならない。特別な事情があり、延長することが必要な場合、国務院工商行政管理部門の許可を得て、3ヶ月間延長することができる。

 

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