飯島国際商標特許事務所
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同一人による同一の指定商品・役務に係る同一の商標の出願

2025-09-11

同一人が同一の指定商品・役務に係る同一の商標を出願した場合には、原則として、後願について「商標法第3条の趣旨に反する」として拒絶される。

 

<拒絶する理由>
同一商標が同一人に帰属しても出所混同の問題は生じない。しかしながら、商標権の移転に係る混同防止表示請求(第24条の4)及び出所の混同が生じた場合の商標登録の取消審判(第52条の2)の規定においては、「同一の商品・役務について使用する同一の登録商標」については対象となっていないので、移転がなされた場合に事後的に出所混同が生じる可能性もあるからである。

 

<同一人が同一の指定商品・役務に係る同一の商標を出願する必要性>
先願商標の出願時には使用を予定していなかった商品・役務について、年月を経て当該商標を使用する必要が生じる事態が起きることがある。このような場合においては、先願商標に新たな商品・役務を追加できないので、先願商標と同一の指定商品・役務を含めた新たな出願をする必要がある。

 

<同一の商標とは>
完全に同一の標章であること。ただし、縮尺のみ異なるものは同一に含む。

 

<同一の指定商品・役務とは>

 「同一の指定商品・役務」と判断する場合
(1) 本願商標の指定商品・役務と先願商標の指定商品・役務とが完全に同一である場合
    本願商標の指定商品・役務 A,B,C
    先願商標の指定商品・役務 A,B,C
(2) 本願商標の指定商品・役務が先願商標の指定・役務に含まれている場合
    本願商標の指定商品・役務 A,B
    先願商標の指定商品・役務 A,B,C

 「同一の指定商品・役務」と判断しない場合
(1) 本願商標の指定商品・役務と先願商標の指定商品・役務の一部が同一である場合
    本願商標の指定商品・役務 A,B
    先願商標の指定商品・役務 B,C
(2) 本願商標の指定商品・役務が先願商標の指定・役務を含んでいる場合
    本願商標の指定商品・役務 A,B,C
    先願商標の指定商品・役務 A,B
(3) 本願商標の指定商品・役務が包括表示で先願商標の指定商品・役務が個別表示である場合
    本願商標の指定商品・役務 A(衣類)
    先願商標の指定商品・役務 a(Tシャツ、スーツ、靴下)
(4) 本願商標の指定商品・役務が個別表示で先願商標の指定商品・役務が包括表示である場合
    本願商標の指定商品・役務 a(Tシャツ、スーツ、靴下)
    先願商標の指定商品・役務 A(衣類)

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