飯島国際商標特許事務所
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【商標一般】商標の識別力って何?

2026-04-15

商標登録を検討する際、最も重要となるキーワードの一つが「識別力(しきべつりょく)」です。これは、自分の商品やサービスと、他人のそれとを区別するための力のことで、商標法における本質的な機能といえます。

たとえば、皆さんが時計を購入するために店頭に足を運んだ場面を想像してみてください。目の前に「SEIKO」の時計と「CITIZEN」の時計が並んでいたら、多くの方が「どちらのメーカーの時計を買おうか」と悩まれるはずです。このとき、「SEIKO」や「CITIZEN」という文字は、商品そのものの形とは別に、それが「どこの誰が作ったものか」を伝える目印として機能しています。これが、商標に識別力がある状態です。

一方で、もしその2つの時計の文字盤に、ただ「WATCH」とだけ書かれていたらどうでしょうか。皆さんは「WATCH」という文字から商品を区別することはできず、結局は時計のデザインや色といった物理的な特徴で判断せざるを得なくなります。この場合、「WATCH」という文字自体には、商品を区別する力、つまり識別力がないことになります。

商標法では、このように識別力がない言葉については、商標登録を受けることができないと定められています。その理由は、大きく分けて二つあります。

一つは、目印としての役割を果たさない言葉を法律で保護する必要がないためです。そしてもう一つは、より社会的な理由です。「WATCH」のような一般名称や商品の特徴をそのまま表す言葉は、その業界に関わる誰もが自由に使えるべき言葉です。もし、特定の誰かが「WATCH」という言葉を独占してしまったら、他の事業者が健全な商売をできなくなってしまいます

このように、商標の識別力は「消費者にとっての道しるべ」であると同時に、「誰もが自由に使える言葉を守る」という役割も担っています。新しいブランド名やサービス名を考える際は、その言葉が「自分と他人を分ける旗印」になり得るかどうか、という視点でチェックしてみることが大切です。

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