飯島国際商標特許事務所
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【国内実務紹介】商標の識別力~よくある拒絶理由通知~

2026-04-16

今回は、特許庁の商標審査において「識別力がない(ブランドとしての目印にならない)」と判断される最も多いケースと、それに対する実務上の対応策について詳しく解説いたします。商標登録を目指す上で、最も高いハードルとなるのが「商標法第3条第1項第3号」に該当するケースです。

通常、私たち弁理士と事前に相談を行う段階で、明らかに商品の品質のみを示しているような商標であれば、出願そのものを控えるようアドバイスをいたします。しかし、識別力の有無というものは個別の事案ごとに具体的に判断されるため、特許庁の審査官によっても判断が分かれることがあり、必ずしも白黒がはっきりしているわけではありません。そのため、判断が微妙な場合には出願に踏み切ることになりますが、この審査官の判断の是非こそが実務上最も大きな論点となります。

よくある拒絶理由通知の例を挙げますと、「この商標登録出願に係る商標は、『DRY』の語よりなります。そして、『DRY』の語は『ビール』の味覚を表示するものとして多数使用されている事実があります。そうすると、これを指定商品『ビール』に使用しても、単に商品の品質を表示したにすぎないものと認められます。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当します」といった内容です。このような通知を受け取った際、審査官の判断が妥当であると考える場合には、そのまま手続きを止めることになります。識別力がないと判断された言葉は、基本的には特定の誰かが独占すべきではない公の言葉であり、誰もが自由に使用できるということになります。


一方で、案件が非常に微妙であったり、審査官の判断が明らかに不当であると判断される場合には、一般的に以下の三つの方法で争うことになります。

第1に、その商標は審査官が認定したような「品質を表す意味合い」は生じないと主張する方法です。これは、一般の消費者がその言葉を見たときに、商品の説明ではなく独自のブランド名として認識することを、辞書的な意味や市場の実態に照らして立証していくものです。

第2に、その商標が品質表示として世の中で一般的に使用されていないと主張する方法です。
ただし、最近の審査傾向では、現時点で品質表示としての使用事実がない場合でも、将来的に「誰でもが使いたくなるような表示(使用可能性)」があるとみなされると拒絶されることもあるため、この主張には専門的な注意が必要です。

第3に、たとえもともと品質表示に該当する言葉であっても、長年の使用によって全国的に有名になり、消費者が「これはあの会社の製品だ」と認識できるほど識別力を獲得したと主張する方法です。これは商標法第3条第2項に基づく主張ですが、全国規模での知名度を証明するための膨大な証拠が必要となり、非常に難易度の高い争い方となります。


以上のように、識別力に関する審査は非常に奥が深く、戦略的な対応が求められます。

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