【商標一般】文字商標と図形商標
2026-04-16
日頃から「文字商標」や「図形商標」とは一体どのような商標を指すのか、というご質問を多くいただきます。
今回は、馴染みのある具体例を挙げながら、その違いと出願時の注意点についてご説明いたします。
まず、皆さんが「キリンビールの商品を飲みたい」と思って缶ビールを手に取る場面を想像してみてください。その際、パッケージに記された「KIRIN」というアルファベットに目が留まるはずです。この「KIRIN」のように、文字のみで構成されているものが、まさに「文字商標」と呼ばれるものです。
一方で、キリンビールの商品には、架空の動物である瑞獣(麒麟)を描いた印象的なマークも併せて使用されています。このイラストやロゴマークの部分こそが、いわゆる「図形商標」にあたります。
商標法上、これらの商標は「文字商標のみ」で出願することも、「図形商標のみ」で出願することも可能です。
さらに、文字と図形をひとつのまとまりとして組み合わせた「結合商標」として出願することも認められています。
ここでよく「文字と図形をセットにすると、費用が2倍かかるのではないか」というご質問をいただきますが、特許庁へ支払う手数料や弊所の費用などは、あくまで1件の出願として扱われるため、どの態様であっても費用は変わりません。
しかし、実務上の推奨としては、可能であれば「文字」と「図形」をそれぞれ個別に登録することをお勧めしています。
その大きな理由のひとつに、商標の適正使用(不使用取消審判への対策)の問題があります。
結合商標として登録した場合、その組み合わせた形と大きく異なる態様で使用し続けていると、いざという時に「登録した商標を正しく使用していない」とみなされ、登録を取り消されてしまうリスクが生じる場合があるからです。
この点については少々専門的な話になりますので、また別の機会に詳しく解説いたしますが、将来的な運用の柔軟性を考えるならば、まずは基本に忠実に、文字は文字、図形は図形として、それぞれ独立して権利化しておくのが最も望ましい形と言えるでしょう。





