【国内実務紹介】品質誤認
2026-05-08
商標法における事前規制:特許庁の審査運用
新しく焼酎のブランド名を立ち上げる際、名称に「芋」という文字を含めるケースは非常に多いですが、商標実務においては「指定商品の選び方」に特有の注意点があります。
結論から申し上げますと、商標の構成中に「芋」という文字が含まれている場合、指定商品を広義の「焼酎」のまま出願すると、原則として特許庁より拒絶理由通知が届きます。これは、商標法第4条第1項第16号(品質の誤認)に基づくもので、「芋」という文字があるのに、麦焼酎や米焼酎にもその商標を使える状態では、消費者が商品の品質を誤認するおそれがあるためです。
全体として特定の造語として認識され、品質誤認の恐れがないと判断される例外もありますが、基本的には指定商品を「芋焼酎」(または「芋を原料とした焼酎」)に限定することで、この拒絶理由は解消されます。審査期間の短縮や不要なコストを抑えるためにも、実務上は出願当初から「芋焼酎」に限定して出願しておくことが定石といえます。
不正競争防止法における事後規制:品質誤認のリスク
また、商標登録さえできればどのように運用しても良いというわけではありません。品質誤認を規制する法律として、商標法(事前規制)のほかに、実際の取引を監視する不正競争防止法(事後規制)が存在します。現行の不正競争防止法第2条第1項第22号では、商品の品質、原料、原産地等について誤認させる表示を「不正競争行為」として厳しく禁じています。仮に「芋」という文字が入った商標が登録されたとしても、それを実態の異なる麦焼酎などのラベルに使用して販売した場合には、この法律に抵触し、競合他社からの差止請求や損害賠償請求、さらには刑事罰の対象となる可能性があります。
ブランドの信頼性を守るために
昨今、消費者は原産地や原料の表示に対して非常に厳しい目を持っています。
したがって、商標の中に品質や原料を連想させる文字が含まれる場合は、単に「商標登録ができるか」という視点だけでなく、以下のコンプライアンスを意識した知財戦略が不可欠です
商標法 : 品質誤認による拒絶を未然に防ぐ。
不正競争防止法: 実際の取引における法的トラブルを回避する
景品表示法 : 実態と異なる「優良誤認」による行政処分を避ける。
ブランドの信頼を守るための最短ルートは、「商標の構成」と「商品の実態」を一致させ、適切な指定商品で出願・運用することに他なりません。
出願時には将来の使用実態を明確にし、適切な権利化を目指しましょう。





