飯島国際商標特許事務所
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近時の韓国における不使用取消審判における、「不使用の正当理由」の大法院の考え方

2026-07-13

近年(2026年3月12日判決言い渡し)、韓国大法院において、企業が破産手続き中であるという特殊な状況下での商標不使用を巡り、示唆に富む判決(2024フ11460)が言い渡されました。
この判決は、単に韓国の法理にとどまらず、日本法の実務においても極めて重要な「商標管理の在り方」を提示しています。

1:事件の概要
本件は、商標権者である企業が破産宣告を受けた後、破産管財人が選任されている期間中に当該商標が使用されなかったことを理由に、第三者が取消審判を請求した事案です。
商標権の担保権者(根質権者)は、「破産手続きという不可避な状況にあった以上、商標を使用できなかったことには『正当な理由』がある」と主張しました。
しかし、韓国大法院はこれを退け、商標登録の取消を維持する判断を下しました。

2:判決の核心(不使用の正当理由の意義)
本件の最大の争点は、商標権者が破産手続きに入り破産管財人が選任された状態において、長期間商標が使用されていない場合、その不使用を「正当な理由」があるものとして認め、商標登録の取消しを回避できるかという点でした。
商標権者は「破産により商標を使用することが困難であったため、不使用には正当な理由がある」と主張しましたが、大法院はこの主張を退けました。
その理由は、商標権者が破産したという事実はあくまで「内部的・主観的事情」に過ぎず、法律上の「正当な理由(客観的・外部的な不可抗力)」には該当しないと判断したためです。
特にこの判断の核心は、商標権者の破産に伴い、破産財団に属する商標権の管理・処分権限が「破産管財人」に移転している点にあります。
破産管財人には、裁判所の許可を得て営業を継続するなど、法的な枠組みを通じて商標の使用を維持する手段と権限が与えられていました。
それにもかかわらず、破産管財人が商標権の価値を維持するための積極的な措置を講じていなかった以上、それを不可抗力による「不使用の正当な理由」と認めることはできず、むしろ管財人による管理上の不作為であるとみなされたのです。
つまり、商標権者本人が破産して使用困難になったとしても、管理権限を持つ破産管財人が使用実績を維持する義務を果たさなかった場合、その不使用は正当化されず、商標登録は取消しの対象となるというのが大法院の結論です。

3:本判決の意義
韓国において、2025年の不使用取消審判を含む商標取消審判の請求件数は2,745件に上っており、権利取得のみならず、権利維持を行うための日常的な「使用」には十分に留意する必要があります。また、日本商標法第50条においても「正当な理由」は極めて厳格に解釈され、破産はあくまで権利者側の内部事情に過ぎません。
本判決の論理は日本の裁判実務とも整合するため、今後日本で同様の事案が発生した場合、同様の判断が示される可能性は非常に高いといえます。

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