飯島国際商標特許事務所
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ミャンマーにおける税関登録の効果と現状について

2026-07-18

ミャンマーでの事業展開において、知的財産権の保護は企業の競争力を左右する極めて重要な経営課題です。
現在、ミャンマーの知的財産制度は、WTO(世界貿易機関)の「TRIPS協定」が求める国際基準への整合を急速に進めており、その法整備は段階的なプロセスを経て着実に前進しています。

特に、TRIPS協定第51条から第60条が加盟国に義務付けている「国境措置」については、2019年の知的財産法群の制定および各法施行(商標法:2023年4月1日、工業意匠法:2023年10月31日、著作権法:2023年10月31日、特許法:2024年5月31日)によって、その基盤が国内法として具現化されました。
この協定は、偽造商標商品や海賊版著作物の輸入を水際で差し止める手続きを加盟国に求めていますが、ミャンマーにおける「停止命令」制度はまさにこの国際基準に合致したものです。
現在、商標と著作権において具体的な関税記録制度の運用が先行しているのは、TRIPS協定が要求する最低限の保護水準を確保するための優先的な措置であり、ミャンマーが国際的な法制度の枠組みへと歩みを進めている証左と言えます。

しかし、権利を確実に守るためには、国際的な条約の仕組みを深く理解しておく必要があります。
その代表例が「ベルヌ条約」です。この条約は著作権の自動保護を認める国際的な枠組みですが、ミャンマーは現在未加入です。
そのため、外国の著作物(ミャンマー国内で初めて出版された著作物のみならず、国外で出版された場合であっても国外での最初の出版から 30 日以内にミャンマーで出版された作品については、 著作者の国籍・居住地に関係なく、著作権法が適用されることになりますが、それ以外の外国人の著作物は保護対象とはされません。) であってもミャンマー国内で自動的に保護されることはなく、現地での適切な権利登録が、保護を享受するための前提となります。

運用面では、商標・著作権の関税記録制度は2年ごとの更新制であり、失効は保護の空白期間を招くため、有効期限の30日前までに確実に更新申請を行う管理体制が求められます。
一方、特許や工業デザインに関しては、国内での登録受付は開始されているものの、現時点では関税による自動差し止めの枠組みは対象外となっています。そのため、これらについては、国内登録を完了させた上で、市場監視を強化し、侵害品を発見した際には民事や行政上の手続きを迅速に講じられるよう、あらかじめ備えておく多層的な防衛戦略が必要です。

どの権利においても、当局が現場で迅速に真贋を判定できるよう、製品の特徴や識別資料を整備し、提供しておくことが検挙率の向上に直結します。
ミャンマーの知的財産制度は現在も整備が進行中であり、法改正や運用変更が随時行われる可能性があります。常に最新の情報を把握し、現地事情に精通した専門家と連携しながら、国際基準への適応と現地法に基づいた着実な権利管理を行うことが、知的財産権の保護においては極めて重要です。

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