韓国知識財産処、「人工知能(AI)を活用して創作した意匠の出願ガイド」絡む見るAI成果物と意匠の保護
2026-08-20
生成AI技術の急速な発展に伴い、デザイン創作におけるAIの利用が増加していることを受け、韓国知識財産処(KIPO)は「人工知能(AI)を活用して創作された意匠に関する出願ガイド」を策定・公表した。【韓国知識財産処、「人工知能(AI)を活用して創作した意匠の出願ガイド参照」
1 ガイドラインの主な内容(韓国)
⑴ 創作者は誰がなるか
現行のデザイン保護法における定義や創作者適格性の解釈上、AI自体は創作者となり得ないとされている。
したがって、AIを活用して創作されたデザインであっても、新規性、創作非容易性、工業上の利用可能性といった登録要件を満たし、創作者として記載された自然人による「実質的寄与」が認められる場合に限り、デザイン登録が可能となる。
⑵ 実質的寄与とは
ここでいう「実質的寄与」とは、人間がデザインの全体的な審美性に影響を与える要部や支配的特徴を構想し、AIをツールとして用いてこれを具体化したケースを指す。
⑶ 留意事項
創作段階における留意事項として、まず入力データの管理が挙げられる。
プロンプトの入力や画像のアップロード等の過程でデータがAIサービスの学習に利用され外部に公開された場合、新規性喪失のおそれがあるため、適切管理が必要とされる。
さらに、人間の実質的寄与を立証するため、使用したAIモデル、創作意図、プロンプトのログ記録、選択・修正のプロセスに関する資料を内部保管することが推奨されている。
⑷ 出願手続き等
① 創作者欄の記載
出願段階における手続的要件としては、法律上、創作者欄には自然人のみしか記載できず、AIモデル名の記載は許されない。
人間による実質的寄与がないにもかかわらず虚偽の創作者を記載して登録を受けた場合、後にデザイン権が無効となる危険が存在する。
また、図面の作成・修正に関しては、AI生成画像には過度な遠近感や背景が含まれたり、各視図間で形状や比例の一貫性が欠けたりする場合があるため、出願に適した図面への修正・再構成が必要不可欠となる。
② 審査における留意点
審査段階における判断基準として、審査過程で人間の実質的寄与が疑われる場合には、審査官から署名入りの創作過程記録や確認書の提出が求められ、立証不能時には拒絶される。
包括的・単純な指示語のみによる成果物の無修正出願などは寄与が認められにくい。
その他、図面間の比例・形状の不一致による工業上の利用可能性違反、草案の外部公表による新規性の喪失、および既存要素の単純結合・置換による創作非容易性の欠如などが主要な拒絶理由となり得る。
2 日本法におけるAI生成デザインの法的位置づけと近時の動向
日本の意匠法においても、意匠の創作主体は「自然人」であることが前提とされており、AIが単独で創作者となることは想定されていない。
産業構造審議会等の場では、生成AIを活用したデザインについて、人間による創作的寄与(実質的寄与)の有無をどのように判断するか、また大量生成されたAIデザインが「公知意匠」や「新規性・創作非容易性」の判断に与える影響についての議論が進められている。
実務上も、AI生成物を意匠登録出願する際には、出願人の適格性、図面の一貫性(図面による物品の形状等の特定要件)、および事前の新規性管理(情報管理)が極めて重要な法的課題となっている。
3 今後の課題と展望
AIを活用して類似のデザインが大量に生成・公開される環境では、先行デザインの量が急増し、意匠の登録要件である「創作非容易性」の審査において「通上のデザイナーが容易に創作できる範囲」がどのように拡大・変化するかという点が新たな課題となる。
また、デザイン創作におけるAI活用の増加に伴い、当該分野における「創作者」の基準や、AIを用いた容易な創作の範囲をどのように解釈・適用すべきかについては、主要国においても引き続き議論が進められており、技術の発展や国際的な動向に合わせた継続的な検討が必要とされている。





