飯島国際商標特許事務所
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近時の裁判例:令和8(ネ)10017 商標権侵害行為差止請求控訴事件 知的財産高等裁判所

2026-09-18

1 事実関係の整理
メーカーは当該生ごみ処理機を自ら開発し、長年にわたり「ゴミサー」の名称を使用してきました。他方、旧商標権が消滅したことを認識した販売代理店は、メーカーに対する事前の告知や協議を行うことなく、同一名称について新たに商標登録を受けました。その後、代理店は当該商標権に基づき、メーカーに対して差止を求めました。

2 判断の枠組み
商標権は登録により発生する強力な独占排他権ですが、その行使が常に無条件に認められるわけではありません。
当事者間の関係、名称の選択・使用の経緯、出願の態様などの事情によっては、信義則に照らして権利濫用として排斥される場合があります。
本件も、この一般的な枠組みの中で検討されるべき事案です。

3 裁判所の判断
知財高裁は、以下の事情を総合し、代理店の権利行使を信義則違反として権利濫用に該当すると判断しました。
⑴ :名称の創作・使用の実態
「ゴミサー」の名称はメーカーが選択し、長年にわたり製品の標識として使用してきたものです。代理店は、メーカーのこの継続的使用の蓄積の上に販売活動を行ってきたに過ぎません.
⑵:出願の経緯
代理店は旧商標権の消滅を認識したうえで、メーカーに無断で出願しました。
この出願態様は、当事者間の継続的取引関係の実態に照らし、相手方の利益を不当に害するものと評価されます。
⑶:メーカーの正当な利益
メーカーは自社製品の名称を継続して使用する利益を有しています。
代理店が商標権を盾にメーカーの事業活動を制限することは、当事者間の公平な利益衡量に反すると判断されました。
以上の事情から、代理店の差止請求は信義則に反し、権利濫用として許されないと結論づけられています。

4 本判決の位置づけ
本判決は、形式的な商標登録の名義に拘泥することなく、名称の選択・使用の実態、出願の経緯、当事者間の取引関係といった事実を丁寧に評価し、信義則に基づく権利濫用法理を適用した点に特徴があります。

5 事案から導かれる示唆
本件からは、商標の管理を怠ることは重大な紛争の契機となること、商標の帰属や名称使用の扱いを契約上明確化しておくことの重要性、を伺い知ることができます。

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