飯島国際商標特許事務所
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【国内実務紹介】商標の実務紹介~観念類似~

2026-10-19

商標の類否判断は、商標実務において最も重要なプロセスの一つであり、外観・称呼・観念の三要素を総合的に検討して行われます。なかでも、外観や称呼が異なるにもかかわらず、意味内容の共通性によって類似と判断される「観念類似」は、翻訳語や同義語が関係する場面でしばしば問題となります。

観念類似が大きく争われた事例として、商標「天使のスィーツ」と「エンゼルスィーツ/Angel Sweets」の事件が挙げられます。本件の中心的争点は、「日本語と英語(カタカナ表記を含む)という表記・称呼が全く異なる商標同士であっても、意味の共通性のみで消費者が出所を誤認・混同するか」という点でした。

特許庁は、漢字・ひらがな表記と英字・カタカナ表記という外観の差異、さらに「テンシノスィーツ」と「エンゼルスィーツ」という称呼の違いを重視し、両商標は特定の観念を生じない造語であるとして非類似と判断しました。

これに対し、知財高裁は、外観・称呼の差異は認めつつも、「エンゼル」や「Angel」が「天使」を意味することは日本国内で広く認識されている点を重視しました。さらに、「スィーツ」は識別力が弱く、観念形成の中心は「天使/エンゼル」にあると評価しました。その結果、両商標から共通して「天使の甘い菓子」や「天使」という明確な観念が生じ、取引者・需要者に与える印象・記憶を通じて相紛らわしいとして、観念類似を認め、特許庁の非類似判断を取り消しました。

このように、外観や称呼が大きく異なる商標であっても、翻訳関係や同義語による観念の一致があれば、類似と判断される可能性があります。商標の選定・調査においては、表記の違いに安心せず、意味内容の共通性にも十分注意を払うことが不可欠です。

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