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海外:意匠法

韓国のデザイン保護法に関し、審査基準が改定されました

2025-06-25

韓国審査基準が改正され2025年6月16日から施行されました。

審査基準の改正の主な内容は以下の通りです。

1:部分デザイン(我が国の部分意匠)と全体デザイン(我が国の全体意匠)の類否判断の緩和
韓国では部分デザイン(我が国の部分意匠)と全体デザイン(我が国の全体意匠)とは類似関係はないとされてきました。
そのため、僅かな部分を破線とした部分デザインとその内容全体を示した全体デザインはほぼ同じ内容であるにも関わらず、並存登録がされる事態が生じていました。
これにより、類似の意匠に重複して権利が取得されることや、先願の出願人の権利が侵害される問題などが発生していました。
そのため、全体か部分かという形式面の差異のみから非類似と判断するのではなく、意匠を実質的に比較し類否判断を行うようになります。
この点は我国でも平成31年審査基準の改訂まで、「部分意匠の意匠登録出願と全体意匠の意匠登録出願とは,意匠登録を受けようとする方法及び対象が異なる」として,先願では全体意匠同士及び部分意匠同士の類否しか判断されていなかったものを、改訂に類否判断の対象とすることとしたことと同様です。
また、これにより先願主義の特則として規定されている関連デザイン(我が国の関連意匠)も全体デザインと、部分デザインとの間で関連デザインの登録が認められることになりました。

【韓国改正後の審査基準:デザイン保護法46条の部分】
⑴:全体デザインと部分デザインの間には原則として先願主義を適用しない。
⑵:ただし、全体デザインと比較した場合、部分デザインで登録を希望しない部分が全体的な美的感覚に影響を与えない程度に視覚的に非常に微小であり、両デザインが類似している場合には先願主義を適用できる。と規定されています。
 
2:内装デザインの保護(一意匠一出願)
自動車の内装デザインはブランド価値にもつながるポイントとなるため、消費者が自動車を選ぶ際に欠かせない要素になります。
しかし、従来その内装全体を一意匠として権利取得をすることができるか否か、審査官の判断が分かれていました。
そのため、各構成物品ごとに出願し権利化するしかなく、内装全体を通じてのブランド化を図ることができませんでした。
そこで、今般の審査基準の改定で、結合状態から見て、各品目の機能・用途が失われ、新たな一つの機能・用途として認識されるかどうかを基準に判断し、一意匠として出願ができることが明確化されました。

3:出願の際のデザインの説明の記載簡素化
従来デザイン出願をするに際し、デザインを表現する「図面」と「デザインの説明」を記載し、「デザインの説明」に材質や用途などを慣行的に追加記載しなければならない場合がありました。
改訂審査基準では、材質や用途などに対する説明がなくても、審査官が図面を見て出願デザインを理解することができるのであれば、これを記載しなくてもよいと規定し出願人の利便性を高めることとしました。

4:規性喪失の例外主張に関連する不認定予告通知新設
これまで新規性喪失の例外を主張する際に、証明書類の提出がなかった場合、特許庁は出願人に何らの通知もせずに審査を進め出願人に不測の損害が生じることがありました。
そのため、改訂審査基準ではその過誤が明白である場合には、審査官が不認定予告通知を行うことが規定されました。

【審査基準】
修正書を通じて新規性喪失の例外を主張したが証明書類が未提出の場合、別途不認定予告通知なく新規性喪失の例外主張はなかったものと見なし審査を行う。
ただし、出願人・代理人のミス等により証明書類を未提出であることが明白な場合、審査官は不認定予告通知を行うことができる。

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