海外:商標法
ベトナムで商標法が改正されました
2026-04-05
ベトナムの知的財産法(法律第131/2025/QH15号)は、2025年12月10日に国会で可決され、2026年4月1日付で施行されました。
今回の改正は、同国のデジタル経済の進展や国際的な知的財産保護基準への適応を背景とした、近年の法整備において最も重要な進展の一つと位置づけられています。
以下に、商標制度を中心とした主要な改正事実を客観的に記述します。
1:手続期間の劇的な短縮
行政プロセスの効率化を目的に、各種法定期間が大幅に短縮されました。
実体審査期間: 従来の9か月から5か月に短縮。
異議申立期間: 従来の5か月から3か月に短縮。
出願公開期間: 方式審査完了から2か月以内とされていたものが、1か月以内に迅速化。
ファストトラック(早期審査)の導入
一定の適格基準(侵害の恐れがある場合や実際の使用実績など)を満たす出願に対し、最短3か月で実体審査を完了させる新たな仕組みが整備されました。
2:「ベトナム」等の国家的要素を含む商標の厳格化(第74.2.dd1条)
国内ブランドの保護および地理的原産地の混同防止を目的に、登録基準が強化されました。
原則: 「ベトナム」という名称や国内の地理的出所を示す標識を含む商標は、原則として識別力がないものとみなされます。
例外: 出願日前に広く使用され認知を得ている場合、または集団商標・認証商標の構成要素である場合に限り登録が認められます。
従来の運用で一般的であった、特定の語句に免責を付すことによる登録は原則として認められなくなります。
3: 悪意に基づく無効・取消規定の拡充(第100.7条)
不当な先占や不誠実な意図に基づく出願(商標スクワッティング等)への対抗手段が強化されました。
申請情報が不正確または不誠実であると考えられる妥当な根拠がある場合、知的財産局は登録証明書の付与決定を取り消す、あるいは登録を無効とする権限を明示的に有します。
4:知的財産の資産的活用(商業化)の促進
知的財産権を単なる独占権としてだけでなく、経済的資産として活用するための法的枠組みが具体化されました。
改正法は、商標権を含む知的財産権を、融資の際の担保や資本拠出(現物出資)として利用することを奨励しています。
これに伴い、ライセンス、譲渡、および資産価値の評価に関するガイドラインが整備されました。
5:デジタル環境における執行力の強化
eコマースの成長に対応し、オンライン上の侵害行為に対する執行ツールが拡充されました。
*権利者に求められる対応
今回の商標法の改正で商標権者には以下のような点に特に留意する必要があると思われます。
監視の強化: 異議申立期間が短いため、他者の出願を早期に検知する「商標ウォッチング」が不可欠です。
使用証拠の蓄積: 「ベトナム」を含む商標の維持や、悪意の出願に対抗するため、日頃から現地での広告・販売実績を記録しておく必要があります。
*別途改正改正eコマース法の施行
2026年7月1日からは、別途「改正eコマース法(Law No. 122/2025/QH15)」も施行されます。
これにより、販売者の本人確認(VNeIDの活用)の義務化や、プラットフォーム側の損害賠償責任の強化など、知的財産権を含む消費者保護の枠組みがさらに強固なものとなります。





